Story
Story Vol.1
静と動を奏でる心地よい白磁時計
北欧で陶器を学んだデザイナー、塚本カナエさんによる白磁時計。発売から今なお愛され続けるその凛とした表情は、見るものの心をやさしく包み込んでくれます。
静と動を奏でる
心地よい白磁時計
ー 雫はその存在を描く ー
“ Drops draw the existance ”
こちらは、重力の形、普段影響を受けているが目に見えないものがテーマ。昔どこかの軒下で雨宿りをした時に見た、ひさしからの水滴が地面に描く形をモチーフにされています。なだらかな凹凸が、静かでやわらかな陰影を生みだしています。思わず手で触れたくなるような、心癒される作品です。
ー 攻撃的な時計 ー
“ Aggressive ”
建築構造体の一つで橋梁のデザインなどによく用いられる「テンション構造」や、テントなどの構造に用いられる「幕面構造」による飛び出した形をモチーフにされました。そして、もうひとつテーマになっているのが「とげとげしい感情」だそうです。改めて、この時計を見つめてみると、確かにそう感じませんか?感情の中にあるなにかが揺さぶられるような思いに駆り立てられます。クロックという機能を超えて、気品と美しさを感じる芸術品でもあるのです。
研ぎすまされたデザインと
職人技との融合
陶磁器がもつ素材の美しさも大きな特長です。特殊加工したセラミック素材を用い、マットで独特な質感をもつ時計に仕上がっています。枠は日本でも有数の陶磁器メーカーで、一つ一つ職人さんの手によって作られています。
狂いのないフラット面やシャープなエッジを再現するのはとても難しく、高度な技術が要求されます。商品化までには何度も試作を重ね、多くの時間を費やされ完成しました。
繊細でシャープでな針は、強靱性と耐久性に優れた素材を使用しています。
本体左下側面にはlemnosのロゴとデザイナーである塚本カナエさんの名前がブルーで印字されています。
塚本 カナエ
Kanae Tsukamoto
香川県生まれ。三菱電機株式会社などを経た後、YKK吉田育英会給費留学生としてフィンランド国立ヘルシンキアート&デザイン大学大学院(UIAH)留学。その後、英国ロイヤルコレッジオブアート(RCA)にて修士修了。英国ダーティントンクリスタル、クィーンズベリー・ハント・レヴィーンデザイン(ロンドン)を経て99年Kanaé Design Labo設立。「テーブルの上からその周辺へ」という視点でデザイン。英国王立芸術振興協会デザインコンペ大賞受賞、東京ドームテーブルウエアフェスティバル優秀賞受賞、ドイツ・ゲーラ工芸美術館作品収蔵、Gマーク(日本)、Red Dot賞(独)、iF賞(独)Dezeen賞(入選)など受賞。2009-2010Gマーク審査員。2013年長崎県デザインアワード審査員。2017年、2019年度・iF賞審査員。京都府立大学・准教授を経て、岡山県立大学特任教授。RCA客員講師。